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現の夢
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■作品解説■

『PONK!!』『鬼剣舞』に収録。1995年の作品です。

『PONK!!』入稿の一週間前に急いで描いたもので、線もロットリング(苦笑)。この頃はまだ付けペンで漫画を描いていた時期ですね。この作品も筆で描けば良かったと思います。

それはさておき、この漫画は元はストーリー漫画にするはずだったのですが、時間もなかったし、ちゃんと描くとイヤ〜な話になりそうだったのでスッキリとビシャモン一人称の詩的マンガにした訳です。コレはコレで私も気に入っているんですが、読まれた方で最後「おや?」と思われた方もおられると思いますので、元のストーリー漫画の内容も含めて解説したいと思います。

まず、おりんですが。まだ完全には死んでいません。限りなく死に近い瀕死状態です。
漫画の方で全く触れられていない般若は(実を言うと結構重要なんですが)この漫画4頁の間は楽しくて仕方がないって状態で上機嫌。彼(般若)はビシャモンの怒り・哀しみ・苦しみといった負の感情を感じるのが大好きなんです。
おりんを殺すことによって、ビシャモンに生じる爆発的な感情に、般若は嬉しくて仕方がない。が、この後(漫画の後)ビシャモンの心が壊れてしまうと観た(感じた)般若は、すかさずおりんを呪縛。おりんの命を繋ぎ止めます。
「ビシャモンの心が壊れる=人間的感情を失う」ということは、般若にとってもつまらない結果にしかなないわけです。
そこで、ビシャモンの心を異常なまでに揺り動かしたおりんを、殺すのではなく利用することにした。ビシャモンにとっておりんという存在が今この呪われた状況の中で唯一人の心を保たせているのだと、般若は理解した訳です(逆を返せば、おりんがいなければ、ビシャモンは剣士として完全になれたって事かな。弱点なんですよ、おりんが)。

これによって般若は、ビシャモンが永遠に正気を失わない、言い換えれば永遠に苦悩させ続けることができる最高の人質を手に入れて大満足!
おりんもね、般若に呪縛されてしまったことは、夫の苦悩を考えると心苦しいけど、心のどこかで般若に感謝している面もある。
だって、ビシャモンといられるんだもんね。
一人残されることが耐えられなくて、死ぬのを覚悟で会いに来た位なんだし。

−−と、まぁこんな(MY設定盛り込みまくりな)感じに、元はおりんが例の幽霊になる経緯漫画だったんですよ(苦笑)。あの幽霊がおりんだったっていう設定付けられていたら、ファンとして描きたくなるってものじゃないですか!
ただ「会いたい」と強く願っただけで、生霊がビシャモンの元に行けてしまうなんてのは、どうもあっさりしててドラマ性に欠けるので、おりんの愛と般若の策略(?)でズバっとやって貰った次第です。

わかりにくい解説ですみません><


『鬼剣舞』収録時に付けた解説より転載。

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